株式会社は一定の手続きをふまないと設立できません。そして、設立後もやるべきことがあるため会社設立をしてビジネスを行うという方は、設立スケジュールをしっかり把握しておいてください。

 

具体的な株式会社設立までのスケジュールは、ざっくり下記のようになります。

  1. 株式会社の名前など基本的な項目の決定。
  2. 設立手続きに向けて印鑑証明書の取得などの事前準備。
  3. 定款の内容を決め、定款の認証を行う。
  4. 株式会社設立に必要な申請書類の作成
  5. 法務局へ株式設立の登記申請。
  6. 設立(登記)完了。

それでは、株式会社設立までのスケジュールから詳しく見ていきましょう。

 

4つの株式会社設立項目の決定

株式会社設立の手続きを始める前に会社にとって基本的な事項(設立項目と言います。)を決めていきます。設立項目が決まってないと、後で説明する定款の作成に支障をきたしますので、余裕を持って行いましょう。

設立項目は、株式会社の設立を企画し、資本金の出資を行う人(=発起人)が決定します。発起人が複数の場合は、過半数以上の賛成で決定します。

 

なお、設立項目の中には、株式会社設立時の役員で決められる事項もありますが、発起人がこの時点で一度に決めてしまう方が、後々の手続きや書類作成がスムーズなことが多いです。

 

①株式会社の名称と本店所在地を決める

名称の決定

会社の名称は法律用語で「商号」と呼ばれます。基本的には自由に決められますが、名称の前か後に必ず「株式会社」という文字を付けなければいけないというルールがあります。

なお、同じ住所に同じ商号の会社がある場合、登記することが出来ませんので注意しましょう。法務局でできる商号調査に加えて、Googleなどの検索エンジンを使って、似たような会社名が無いかも確認しておくことをオススメします。

当事務所では、面倒な商号調査もお客さまに代わって行いますのでお気軽に申し付けください。

 

本店所在地の決定

株式会社の拠点となる住所を「本店所在地」といい、本店所在地の場所によって会社設立の申請書類を提出する法務局が決まります。

本店所在地の、名称と同じく基本的に自由に決められます。例えば、自宅にする、新たに事務所を借りる、レンタルオフィスなどといった選択肢があります。

 

事業目的と事業年度を決める

事業目的の決定

事業目的とは、あなたの設立した株式会社が「何をする会社なのか」を取引先や金融機関などに対して明らかにするものです。

あなたの会社がどんな業務をしているか具体的かつ明確であること、業務に違法性が無いことに気を付けて決めましょう。

 

事業目的を適当に決めてしまうと、事業目的の記載不備で会社の運営に支障が出てしまうケースもあります。

 

ですので、法務局での事前確認のほかに、許認可が必要な業務をする場合は、事前に専門家へ事業目的の記載に間違いがないか確認をとっておくことをオススメします。

 

事業年度の決定

株式会社は通常ですと、1年ごとに会社の営業活動によって得た売上や経費などに区切りをつけて、利益や支払うべき税金がどれだけあるか税務署へ報告します。これを決算といい、この決算期間を事業年度といいます。

 

事業年度の開始月は自由に決められますが、期間は1年を超えることが出来ません。

事業年度は会社を運営する上で大切な要素です。決算を行う会社が多い4月や12月を避けて事業年度の終了月を決めるなど、様々な要素を考慮しておいたほうがいいでしょう。

 

資本金と出資者(設立時株主)を決める

資本金とは、株式会社が営業活動を行う元手となるお金のことで、設立時に決めておく必要があります。資本金の額を決める際は、設備投資や当面の運転資金としてのほかに、社会的な信用など、あらゆる面を考えて決定しましょう。

 

機関設計を決める

株式会社の「機関」とは、会社の意思決定や運営管理などをする地位などのことをいいます。

株式会社での機関設計では「株主総会」と「取締役」は必ず設置する必用があります。このほか「取締役会」「監査役」「監査役会」などがあります。

 

ちなみに、欠格事由に該当しなければ誰でも取締役になれ、人数に制限はありません。

 

株式会社設立に向けての申請種類の準備

会社設立項目が決まると、設立申請に必要となる書類も決まってきます。以下で、会社設立申請書類を準備するまでのスケジュールを見ていきましょう。

 

印鑑証明書を取得する

後で説明する定款の認証時と会社設立登記時に必要となる印鑑証明書を取得します。印鑑証明書は発起人となる方、取締役に就任される方全員のものを取ります。市区町村役場で取得できますが、有効期限が発行後3ヶ月以内となっているので気を付けましょう。

 

類似商号を調べる

決定した株式会社の名称が、すでにある他の会社名と似ているものがないかを調べます。類似商号は、本店所在地を管轄する法務局に備え付けられている商号調査端末などで調べることができます。

 

会社代表者印(法人実印)を作る

会社代表社員(法人実印)とは、株式会社設立登記を行う際に申請書に押印する印鑑のことです。

代表者印は登記申請する際に一緒に届出をしなければなりません。印鑑ができあがるまでに時間がかかることもあるので、商号の調査が終わり次第、早めの準備をオススメします。

 

 

会社設立に必要な定款の作成と認証の手続き

定款とは、簡単に言うと株式会社を運営する上で重要な事柄を書面にまとめたもので、会社を設立するときに必ず作成しなければいけません。

 

定款には必ず記載しなければならない事項(絶対記載事項と言います。)があるので、絶対的記載事項の漏れがないようにします。

※記載してもしなくても良い事項を「相対的記載事項」と言います。

 

また、定款は発起人全員で作成し、その証として発起人全員が定款に署名するか、実印を押します。

定款を作成したら、その定款が正しく作られたものであることを第3者に証明してもらうために、本店所在地の都道府県にある「公証役場」にて「定款の認証」を行います。

 

定款の認証は、法律のプロである公証人が行い、手数料約5万円が必要となります。定款認証を行うには、必ず公証人にアポイントを取らないと認証してもらえないので注意してください。

 

株式会社設立登記書類等を用意する

定款を作成したらいよいよ株式会社設立登記に移ります。登記申請に必要な添付書類は、会社の概要や定款の記載事項によって少し違ってきますので注意して作成しましょう。

 

就任承諾書を用意する

株式設立会社で代表取締役、取締役、監査役になる予定の方が就任を承諾した証明が「就任承諾書」です。新たに就任される方の実印を押して設立登記申請時に法務局へ提出します。

 

払込を証する書面を用意する

出資者(発起人)が出資金を「代表取締役となる人の個人口座」へ振り込みます。資本金の払い込みが終わったら、払込証明書を作ります。

 

払込証明書には「代表取締役となる人の個人口座」の預金通帳の表紙、裏表紙、資本金振込が載っているページの写しを合綴します。

 

株式会社設立登記申請書と登記すべき事項のCD-Rを用意する

株式会社設立登記申請書には、法定の書面を添付しなければなりません(これらの作成方法は、法務局のホームページに基本の様式が掲載されています)。

あわせて登記すべき事項をパソコン等で作成したデータをCD-Rなどに保存して準備します。

 

印鑑届出書を用意する

あらかじめ作成しておいた会社代表印(法人実印)を個人の印鑑と同じように実印登録するために、登記申請と同じ管轄の登記所に印鑑届出書を作成して提出します。

 

株式会社設立登記を提出する

株式会社設立登記に必要な書類を用意したら、管轄の法務局で登記を行います。法務局に申請書類を提出した日が、会社の設立日となります。

ただし、実際に登記が完了して法務局で会社の登記簿謄本が取れるようになるまで少し時間がかかりますので、窓口でいつ完了するのか確認しておくのがオススメです。

申請書類に不備などが無ければ、1週間から10日ぐらいで株式会社設立の登記が完了し、無事会社設立となります。

 

株式会社開業の届出をする

さて、いよいよ登記が完了し、株式会社の設立ができましたが、これで終わりではありません。登記完了後は速やかに各種の届出をしなければなりません。各種届出をしてようやく会社運営がスタートします。

以下で、どんな書類を提出するのか見ていきましょう。

 

税務関係の届出をする

株式会社を設立すると、法人税などの税金を納付する義務ができるため、会社の本店所在地を管轄する税務署に書類を提出しなければなりません。

書類にはそれぞれ提出期限がありますので気を付けましょう。書類の様式については税務長のホームページよりダウンロードすることができます。

 

また、本店所在地の都道府県と市町村にも法人住民税と法人事業税の納付が必要となるため、都道府県税事務所と市区町村役場にそれぞれ法人設立届出書を提出することになります。

ほとんどの都道府県、市区町村のホームページから申請書をダウンロードできるようになっておりますので、管轄のホームページを確認するといいでしょう。

 

社会保険・労働保険関係の届出をする

株式会社は社会保険の加入が義務付けられているため、会社設立後に社会保険事務所に届出書を提出する必要があります。

株式会社では従業員の社会保険料の半分を会社負担としなければなりません。従業員を雇った場合、給料と社会保険料の総額が1人あたりの人件費となるので注意しましょう。

 

従業員を1人でも雇った会社は、従業員が入社した日の翌日から10日以内に労働保険(雇用保険と労災保険)の加入手続きが必要になります。この場合、労働基準監督署と公共職業安定所等に書類を提出することになります。

 

ここまでで法律的な手続きはひととおり終了です。

 

株式会社名義の銀行口座の開設をする

法律的な手続きを終了しただけでは、まだ会社として営業はできません。営業を開始するには、お客様との取引などのために使う「株式会社名義の銀行口座」を開設が必要です。

 

法人名義の口座開設の審査は年々厳しくなっています。身元確認や必要書類は厳格なものですので、事前にどんあ書類が必要か銀行へ確認するなどして準備しておくようにしましょう。

口座の開設にかかる期間は銀行によって様々ですので早めの準備がオススメです。

 

まとめ

株式会社設立のスケジュールは以上のような流れになります。最後までお読みいただいてわかるとおり、会社設立にはじつに様々な準備をしなければなりません。

 

株式会社を設立し経営者となるお客様にとって本業をおろそかにして、書類の作成や手続きに大切な時間を費やすことは経営上得策ではないとシフトアップは考えています。なぜなら起業時の経営者にとって最も重要なことは、会社運営のことを考える時間を作ることだからです。

株式会社設立のスケジュールはわかったが時間を大切にしたいという方は、アクセス便利な名駅の「行政書士事務所シフトアップ」へお気軽に相談ください。