起業といえば株式会社をイメージされる方が多いかと思いますが、近年ではアマゾン・ジャパンをはじめとした有名企業も合同会社化している例もあり、合同会社の設立には株式会社にはない独自のメリットやデメリットがあります。

それでは合同会社のメリットとデメリットを株式会社との比較をまじえながら紹介します。お客様にとって「合同会社」と「株式会社」、どちらで起業するのが合っているのか参考になれば幸いです。

 

合同会社3つのメリット

メリット1|設立などのコストが低い

①設立費用が安い

株式会社設立にかかる費用の大きなものの例として登録免許税「15万円」と定款の認証に必要な公証人手数料「約5万円」があります。

一方で、合同会社設立の場合は登録免許税が「6万円」、定款は作りますが認証は行いませんので、公証人手数料は不要です。

 

つまり合同会社のほうが初期費用が「14万円」節約できることになります。

 

②役員変更の費用がかからない

設立後の話になりますが、株式会社では役員の任期が2年(条件によっては最大10年)と決まっています。そのため、役員の任期が満了したときは変更や留任の手続きが必要となります。

手続きが完了したらその旨を速やかに登記しなければならず、この登記には「1万円」の登録免許税がかかります。

 

これに対し合同会社の場合、役員の任期は無制限ですので役員の変更がない限り登録免許税はかかりません。

株式会社の場合だと定期的に必要になる費用が、合同会社の場合は役員の変更をしない限り不要となります。

 

③決算の公告の費用がかからない

会社は1年に1回必ず決算をしなければなりません。そして株式会社の場合、この決算の内容を公告する義務があります。

公告とは会社の重要な変更事項、または決算を株主や取引先などといった利害関係人に通知することです。

 

ちなみに公告の方法は3種類ほどあり、一般的な官報に掲載する方法をとった場合、「約6万円」の費用がかかります。

合同会社には公告の義務はない為、公告をしない限り費用がかかることは一切ありません。

 

メリット2|経営の自由度が高い

株式会社の場合は必ず出資金の比率に応じて利益が配分されます。ということは、出資金が少ない人は必然的に会社からの利益の分配の恩恵が少なくなります。

しかし、合同会社の場合は出資金の多い少ないの比率に関係なく社員(=出資者)間で自由に利益を配分できます。

 

つまり会社に貢献した人に多くの利益を配分したいと考えても、株式会社だと出資金の比率による制約に縛られてしまいますが、合同会社なら出資金の比率に関係なく会社への貢献度によって利益の配分をすることができます。

 

また、株式会社は出資者と経営者が違うので、会社の重要な運営方針などを決めるときは株主総会を開いて決定をしなければなりません。

一方で合同会社は出資者と経営者が同じなので、総会などを開くことなく意思決定ができるフットワークの軽さがあります。

 

メリット3| 節税ができる

個人事業主から合同会社を設立した場合、株式会社と同様に節税のメリットが受けられます。個人事業主の所得税は稼げば稼ぐほど成立が上がる累進課税なのに対して、法人税は一定税率となります。

また、

  • 資本金が1,000万円以下かつ、特定期間に課税の対象となる売上が1,000万円以下
  • 給与等の支払額の合計が1,000万円以下

の場合、設立から2年の間は消費税の納税免除を受けられます。

 

 

合同会社設立のデメリット

合同会社設立には当然デメリットもあります。株式会社にしておけばよかったとならないようにデメリットも把握しておきましょう。

 

デメリット1 知名度が低い

正直なところ、日本では合同会社は株式会社ほど知られていません。取引先が大きくなる場合、株式会社でないと契約してもらえない場合も実際にあります。また、合同会社であるために希望の額の融資が受けられない可能性がないわけではありません。

とはいえ、合同会社も法人ですので個人事業主に比べると社会的信用度は高いと言えるでしょう。

 

デメリット2 資金調達の手段が限られる

株式会社の場合は株式の増資をすることで資金を調達することが出来ます。しかし、合同会社には株式がないため当然にこの方法は使えませし、上場することもできません。

ですので、資金調達の方法としては融資を受けるか、社債(企業の借金証書)を発行する方法の2つに限られてしまいます。

 

デメリット3 出資者間のトラブルの可能性が高い

利益配分が自由にできるということは、反面、出資者同士のトラブルが起きやすくなります。また、金銭に関わるトラブルは解決が難しく長続きしやすいものです。

出資者に業務の執行権が与えられているので、金銭に限らずひとたび対立が起きてしまうと会社の決定を行う上での意思の疎通が困難になってしまいます。

 

社員(=出資者)同士の意思の疎通が困難になってしまうと途端に合同会社は身動きが取れなくなってしまいますので気をつけてください。

 

デメリット4 求人する上で不利になることがある

特に会社設立後に新卒採用を積極的に考えているお客様は気を付けてください。

新卒はイメージで就職先を選ぶ傾向があります。事業が同じなら実際に働く上では株式会社も合同会社も同じのはずですが、株式会社の方が安定しているというイメージが強いのが実情です。

 

また合同会社は合資会社と似た零細企業と勘違いされている人も多いようです。

 

まとめ

ここまで合同会社のメリットとデメリットを説明してきました。やはり合同会社の最大のメリットは設立コストの低さと経営の自由度の高さです。特に創業期には、合同会社のメリットを大いに受けられるのではないでしょうか。

のちに事業が軌道に乗って事業拡大を考えた場合、合同会社から株式会社への組織変更も可能です。メリットとデメリットを理解したうえで、合同会社という形態も検討してみてください。

合同会社を設立したい、あるいは合同会社設立か株式会社設立か迷っているというお客様はは「名古屋駅前の行政書士事務所シフトアップ」にお気軽にご相談ください。