法人を設立する際に必須である、資本金の額や使い方ついてお悩みの方も多いことと思います。このページでは資本金額ついて、わかりやすくご説明いたします。
そもそも資本金ってなに?
法人設立に必要な資本金は「会社の運用資金を預ける」という目的を持っています。
言い換えれば、あなたの設立した法人が「事業開始時に使うことの出来るお金がどれだけストックされているのか」を示す金額、それが資本金と言うことです。
資本金が何かは、わかったけど
- 資本金はいったいいくらにすればいいの?
- 他の法人はいくらにしているの?
- 金額のボーダーラインはあるの?
と思われた方。以下で、そんな疑問にお答えして参ります。
資本金額を決めるときの基準はあるの?
法人の資本金は、一般的に「初期費用+運用費(運転資金)3ヶ月分」と言われています。では、初期費用、運用費(運転資金)とは具体的になんのことでしょう?
初期費用とは?
初期費用とは、
- 会社のオフィスや店舗を借りる場合の賃貸借費用(保証金や不動産仲介手数料を含む)
- 机、いす、パソコン等の什器備品購入費
- 店舗の改修費
- 事務所や店舗の維持に必要な光熱費
- 商品の仕入れに必要な費用
など、事業を開始するに当たり必ず必用となる費用のことです。
運用費(運転資金)とは?
運用費(運転資金)とは、実際に法人を立ち上げ、営業を始めると発生する
- 人件費(役員報酬・従業員給与)・オフィスや店舗の家賃
- 消耗品費
- オフィス、店舗、社有車、什器備品類の修繕費
- 交通費
- 商品や製品の製造等で掛かるコスト全般を賄うお金
などのことです。
これらの運用費(運転資金)は、法人が営業活動で得た売上から支払います。しかし、多くの法人が、設立直後は安定した売上の確保ができません。
それでも、売上を確保するために営業活動を続けることになりますから、一定の費用=運用費(運転資金)が発生します。つまり、
売上<運用費(運転資金)
この状態が続いても、当面の間、法人が営業活動を続けるための資金を賄うのが「資本金」となります。
資本金は見せ金で良い?
当事務所にご依頼いただくお客様の中には、資本金は「見せ金」で良いという認識をお持ちの方がいます。
先にも述べたとおり、資本金は法人設立から事業が安定するまでの当面の運用費(運転資金)を賄うための費用となるため、見せ金では事業継続ができませんので注意しましょう。
※「法人設立の費用と設立後の費用。知らなかったでは済まされない!も併せて一読いただけると一層理解が深まります。
平均的な資本金額はいくらなの?
総務省の統計によれば資本金額の平均は「300万円」です。
しかし、これはあくまで統計です。あなたの行う事業によって必用な資本金額は異なります。事業計画と照らし併せて決めてるようにしましょう。
資本金が確保できない場合は法人設立をあきらめるしかないのか?
法人設立の際の、初期費用や運用資金(運転資金)を計算したら「今ある自己資金では足りない」という方。
ご安心ください!
そんなときのために、法人設立を行うときに国や地方公共団体が創業に必要なお金を貸してくれる制度が存在します。それには
- 創造融資
- 制度融資
の2種類が存在します。
①創造融資
創造融資は、資本金に充てるお金を国が貸してくれる制度で、基本的に、あなたが用意できる自己資本の2倍までお金を借りることが可能です。
※創業融資にまつわる用語の解説
- 自己資本:自分のお金を資本金に充てること
- 他人資本:借りたお金を資本金に充てること
②制度融資
制度融資とは、資本金に充てるお金を名古屋市や豊田市などの「地方公共団体」が貸してくれる制度です。名古屋市であれば「新事業創出資金」という名目でお金を借りることが可能です。
具体的には、新規設立法人の場合、名古屋市は25,00万円までの貸し付けを行います。
ただし、1,000万円を超える部分については、自己資金額が限度となります。
例えば、1,500万円の融資を受けたい場合は、500万円以上の自己資金を持っていないと、1,500万円満額を借りることはできないということです。
資本金額を決めるときのポイント
現在は、資本金1円から法人設立は可能ですが、実際に1円で設立する方は99%いません。また、1,000万円を超える資本金で設立する方も稀です。
その理由はなんでしょうか?
資本金額1円で法人設立する人がいない理由
資本金が少額であれば、法人設立後の融資が不利になります。なぜなら、創業融資は資本金により借りることが出来る金額が変わるからです。
一般的には創業融資の額は自己資金の2倍が限度額となります。また、制度融資を行っている国も、お金を貸したからには返して欲しいと思っています。
ですから、事業開始に備えて堅実にお金を貯めた方で、かつ、返せる見込みのある金額しか貸しませんよということです。
資本金額1,000万円で法人設立する人が少ない理由
法人住民税の違い
法人を成立すると、売上の有無に関わらず法人住民税という税金を毎年支払わなくてはなりません。法人住民税の税額は資本金が1,000未満と1000万円以上では、2倍以上の差が発生します。
例えば、名古屋市の場合
資本金1,000万円未満 従業員数50人以下 法人住民税=47,500円資本金1,000万円以上 従業員数50人以下 法人住民税=123,500円
このように1,000万円を超えるか超えないかで法人住民税が、約2.5倍変わります。
消費税の違い
資本金額1,000万円未満で法人を設立した場合、設立初年度から2年間は一定の条件を満たせば、消費税が免除となります。
対して、1,000万円以上になると、消費税免除の適用が受けられなくなり、設立初年度から消費税を支払うことになり、法人の負担が大きくなってしまいます。
資本金はいつから使えるようになるのか?
あなたが用意した資本金は、会社の初期費用と運用資金に充てることを目的としているため、口座から引き出せないと意味がありません。
では、いつから法人のために使えるようになるのでしょうか。
資本金が使えるのは法人設立完了後
法人設立をする際には、一定の書類を作製して法務局へ提出し、登記を完了しなければいけません。
その書類の一つに、法人が資本金の出資を受けたことを証明するための「払込証明書」というものが存在します。払込証明書を作製するには、資本金を法人の代表者となる者の預金口座に振り込む必用があります。
従って、資本金に手を付けることが出来るのは「払込証明書」を作成し、法務局へ提出して法人の登記が完了したあとでなければなりません。
登記が完了するまで、およそ1週間~2週間ほどかかるため、早くても法人設立の書類を法務局へ提出してから、1週間ほど経過しないと資本金を使えるようにならないということです。
※「法人設立の流れを詳しく解説!必見です!」も併せて一読いただけると、より一層理解が深まります。
まとめ
法人の資本金について意外に知らなかったということも多かったのではないでしょうか?
資本金の使い道や、いつから使えるようになるのかはお分かりいただけたことと思います。
しかし、資本金額については、お客様の置かれた状況や、どんな事業を行うかで決めることになります。
資本金額について、法人設立のプロからアドバイスが欲しいという方は、名古屋市は名駅の「行政書士事務所シフトアップ」にお気軽にご相談ください。