ここでは、比較的大規模な任意団体の一般社団法人化で押さえるべきポイントをご説明いたします。

会長や専務理事等の役員がおり、総会を開催し、決算承認や重要事項の決議を行っている等、実質的には一般社団法人と変わらない運営をしている任意団体様も多く存在します。

しかし、法人格のない任意団体のままでいると、団体のため使用する不動産(土地建物)を法人名義で登記できない、財産の管理を個人名義の預金口座等で管理するため個人に所得税が課税されるなどの不都合が生じます。

さらに、公益活動を行っていても、任意団体のままでは、いつまでたっても公益認定を受けることができません。

これら諸事情を考慮し、任意団体の活動を安定させ、社会的信用を高めたり、権利義務を明確化するために一般社団法人設立は非常に有効な手段です。

 

一般社団法人化のポイント1 設立趣旨等の明確化

一般社団法人設立の手続き自体は簡便なものです。しかし、任意団体から一般社団法人化には、設立の趣旨とスケジュールを明確にし、任意団体の理事会の承認を得るなどしないと、その移行がスムーズに行われません。

また、社員や会員の同意を得るため時間をかけて設立趣旨を浸透させていくことが重要です。

 

一般社団法人化のポイント2 公益認定

もう一つ、とても重要なことは将来の公益社団法人化を見据えて一般社団法人を設立するか否かを検討することです。

一般社団法人の公益社団法人化は決して易しい道のりではありません。公益認定を受ける時は、内閣府などの行政官庁が示すガイドラインに沿って、公益認定法に定められた公益認定基準の全てをクリアする必用があります。

公益認定基準には、

  • 公益目的事業の比率が法人の経常費用総額の50%以上である必要こと
  • 学術、技芸、慈善等、公益に関する種類の事業で、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与すること

などの定めがあります。

さらに、公益社団法人になるには、理事会設置法人である必要があります。理事会を設置しない一般社団法人の設立は可能ですが、公益化のため理事会を設置するとなれば、定款の変更をし、運営方法も見直す必用ががあるため抜本的な改革を要します。

 

まとめ

任意団体から一般社団法人化をする場合、設立趣旨等の明確化をして、関係者に周知徹底すること、将来公益法人化をするか否かを念頭に設立準備をしましょう。