株式会社設立をご検討中の方で「そもそも定款って何?」と思った方は多いのではないでしょうか。

 

「なんだか難しそうで、具体的なイメージが浮かばない」

「会社を設立するときに必要だから作らなきゃいけない面倒なもの」

という少しネガティブなイメージをお持ちではありませんか?

 

このページは、そんなあなたに定款についての3つのポイントをわかりやすく徹底解説します。

 

①何のために定款を作るの?

結論から言うと、定款は「トラブルが起こった時に自分の会社を守る」ために作ります。

定款は、いわば「会社のルールブック」です。

 

「我が社はこのような方針で運営していきます」もしくは「トラブルが起こった際は、このような方法で解決します」と宣言し、文書化して公証役場という法律の専門機関から認証を受ける。

そうすることで、一定のルールに基づき安心して会社経営ができるようになります。

 

例えば

「当会社の株式を譲渡により取得するときは、株主総会の承認を受けなければならない。」

と決めておくことで、株主の誰かが会社の株を勝手に他人に譲って、いつの間にか知らない人が株主になっていたということを未然に防ぐことができます。

あらかじめルールを決めておくことで、安心して会社経営することができるわけですね。

 

よく定款は憲法のようなものと例えられますが、実のところ憲法や法律ほど強い効果を持っていません。守らなかったからと言って刑務所に入るわけではありませんが、反則金(過料と言います)がかかる場合があります。

しかし、万が一、トラブルが起きて争いになった場合は「定款に違反している」という事実は裁判などでは大変不利になります。

 

会社の経営を続けていくうちに、定款と現実の運営が離れていくようであれば、トラブルが発生する前に定款の変更手続き=ルール変更することをおすすめします。

 

②定款に記載する内容を具体的に解説

定款に記載する内容は、その性質によって3つに分類されています。

  1. 絶対的記載事項
  2. 相対的記載事項
  3. 任意的記載事項

以下で、それぞれの特徴と具体的な内容を分かりやすく紹介していきます。

 

1 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、会社を運用する際に、必ず決めておく事柄です。絶対的記載事項には6つの項目があり、どれか一つでも抜けると定款として認められません。

具体的には、

  1. 会社の目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価格またはその最低額
  5. 発起人の氏名または名称及び住所
  6. 発行可能株式総数

の6つです。

 

会社の目的とは

どのような内容の商売をして売上をあげるのかを具体的に書きます。項目数に制限はありません。

 

商号

会社の名前のことです。「*」や「!」を使用しないなど、一定のルールに基づいて決めます。

 

本店の所在地

会社の場所のことです。

 

設立に際して出資される財産の価格またはその最低額

具体的な金額は、資本金の額と同じにすることが多いため、資本金の額と考えてください。

 

発起人の氏名または名称及び住所

資本金を出資する人(出資者と言います。)全員の住所、氏名を省略せずに記載します。出資者は、個人でも法人でも構いません。

 

発行可能株式総数

会社が今後、発行する事が出来る株式の数のことです。非公開会社である場合、上限はありません。

 

※非公開会社とは、発行している全ての株式について「譲渡する際に会社の承認が必要」という取り決めをしている会社の事です。小規模会社のほとんどは、この形態をとっています。

 

2 相対的記載事項

会社を運用する際に「この追加ルールを適用します」と宣言するべき内容です。

相対的記載事項は、定款に書かなければ効果を発揮することが出来ません。また、会社法に照らし矛盾している場合は公証役場から認証を受けられません。

上述した6つの絶対的記載事項だけでは、ルールブックとしては未完成であるため、ほぼ全ての株式会社が相対的記載事項も定款に盛り込みます。

 

以下で、多くの会社が定款に書く相対的記載事項の代表的なものをご紹介します。

 

株式の譲渡制限に関する規定

株主が株式を売る、もしくは譲る時に制限を掛けることが出来るようになる取り決めです。

 

株主総会の招集通知を出す期間の短縮

会社法で「2週間前に告知すること」とされている期間を短くする取り決めです。

 

役員任期の伸長

会社法で「取締役は2年。監査役は4年」とされている期間を最大10年まで伸ばす取り決めです。役員任期を過ぎたら、株主総会で選任し、登記しなおす必用があります。

現在の会社法になる前は、取締役の任期は最長でも2年だったため、役員任期満了後の登記を忘れる会社が多くみられました。

登記の際には、登録免許税を支払わなくてはいけないため、現行の会社法になってからは取締役の任期を10年とする会社が一般的です。ただし、10年後の登記を忘れないようにすることは言うまでもありません。

 

取締役会の招集通知を出す期間の短縮

会社法で「1週間前に告知すること」とされている期間を短くする取り決めです。

 

株券発行についての定め

株券を発行するか、不発行にするかを決めることが出来ます。多くの会社は株券を発行しません。

 

基準日

株主が行使できる権利の開始日を決めることが出来ます。

 

各種役員の設定、会議の設立

取締役や代表取締役などの役員を設定することが出来ます。この項で会社の組織構造と代表者が誰であるかなどを明確にします。

 

広告の方法

その年度の貸借対照表(会社の資産と負債などの情報が書かれたもの)は誰でも見ることが出来るようにしておく必要があります。その方法を決める為の項目です。官報に掲載するのが一般的です。

 

 

この他にもあなたの会社の実態に合ったルールを追加することが出来ます。

ただし、会社法に違反する内容が含まれた定款は、定款認証を受けられませんのでご注意ください。

 

3 任意的記載事項

会社を運用する際に「この追加ルールを適用します」と宣言が出来る内容です。社内規則などで効果を発揮しますが、定款に記載することも出来ます。

なお、公序良俗と法律に照らし矛盾している場合は認証を受けられません。

以下で、多くの会社が定款に書く任意的記載事項の代表的なものをご紹介致します。

 

決算日

年に1度の決算日を自由に設定することが出来ます。

 

定時株主総会の開催時期

会社が株主総会を定期的に行う場合、その時期を決めることが出来ます。

 

取締役会の招集権者

取締役会を招集することが出来る役員を決めることが出来ます。

 

この他にもあなたの会社の実態に合ったルールを追加することが出来ます。

ただし、公序良俗や法律に違反する内容が含まれた定款は、定款認証を受けられませんのでご注意ください。

 

 

③ 定款認証って何?

公証人という法律の専門家が駐在する公証役場で、作成した定款が法律的に間違いのない文書ですよという「お墨付き」をもらうことです。

 

定款認証の手順

  1. 出来上がった定款を公証人に事前チェックしてもらいます。
  2. 公証人のチェックがクリアできたら公証役場で定款認証を受けるために、事前のアポイントを取ります。
  3. 定款と必要な物を公証役場に持参し、定款認証手続きを行います。

 

定款認証に必要なもの

  1. 定款を印刷してホッチキス留めし、発起人全員の実印を定款の中の必用な場所全てに押したもの。
  2. 出資者及び発起人の印鑑証明書。
  3. 定款認証手数料。

 

公証役場の所在地

名古屋市内に本店所在地のある会社は、3か所の公証役場が利用できます。

  • 葵町公証役場:名古屋市東区代官町35番16号 第一富士ビル3階
  • 熱田公証役場:名古屋市熱田区神宮4-7-27 宝ビル18号館2階
  • 名古屋駅前公証役場:名古屋市中村区名駅南1-17-29 広小路ESビル7階

 

 

まとめ

 

定款は、法人が安心して活動を行うための重要な規則を記載したものです。ですが、作成に必要な事を決めるだけでも大変な労力を伴います。

その上、法律独特の言い回しや、会社法の条項と矛盾しないような文章を考えるのは、大変な時間を必要とします。

内容についてのご相談にお答えし、希望する内容を定款にしっかり盛り込んでくれるのは、当事務所のようにノウハウを持ったプロだけです。名古屋市の会社設立ならアクセス便利な「名駅の行政書士事務所シフトアップ」お気軽にご相談ください。